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2006年09月29日

XSL-FOとCSSの未来 (2) CSS仕様の迷走

Webブラウザは、見方によっては、自動組版エンジンの一種と考えることもできるでしょう。HTML/XHTMLで記述されたコンテンツをパソコンの画面上に組版するエンジンです。

そのとき、CSS(Cascading Style Sheets)を使うことによって、HTMLやXMLのレイアウト指定をコンテンツから分離することができるという点で、CSSを使うことは大きなメリットがあります。CSSについて詳しい人にはいまさら、というほどの基本的なことですが。

そういう重要な仕様でありながら、2006年09月26日 XSL-FOとCSSの未来でも少しお話しましたが、CSSの仕様は混迷した状態にあります。そこで、CSSの仕様が、これまでどんな経緯を辿ってきたか、現在、どんな状態になっているか、これからどうしたら良いかを少し考えてみたいと思います。

1.CSSの歴史
2006年06月12日XSL-FOによるXMLのPDF化 (6) XMLのスタイル指定でも説明しましたが、CSSの最初の仕様(レベル1)は、1996年には策定されています。

その後、CSSレベル2が1998年2月に勧告仕様となっています。

参考 W3CにおけるCSS仕様策定の動向

ここまでは順調な歩みに見えます。

2.CSS2.1 仕様の策定の問題

その後、1999年にはレベル3の策定作業が始まっています。ところが、一方で、CSSレベル2.1(レベル2リビジョン1)の仕様がWorking Draftとして公開されています。

Cascading Style Sheets, level 2 revision 1
CSS 2.1 Specification
W3C Working Draft 11 April 2006

問題は、2.1の仕様案の2.0からの変更点の内容です。この変更点は、次の4つに分かれます。
Appendix C. Changes

C.1 Additional property values プロパティ値の追加
C.2 Changes 変更
C.3 Errors 誤り
C.4 Clarifications 明確化

この中で問題なのはC2の変更です。これを見ますと、特に、CSS2で定義されていたものが削除されたり変更になったものが多数あります。具体的なことは別途、例をあげて説明したいと思いますが、これは、仕様を実装する立場からは非常に困ったことになります。

なぜならば、(1)CSS2は、既に変更になるということが意図されているということになりますので、CSS2の完全な実装を意図することが無駄となってしまいます。

(2)ところが、CSS2.1は、いまだ、WorkingDraft(草稿)段階です。それどころか、一度、勧告候補まで進んだにもかかわらず、差し戻しで前に戻ってしまった状態になっています。いつ仕様として策定されるのかわからないという状況です。

そうしますと、CSS2.1の完全実装も目標として掲げ難くなります。なぜかと言いますと、果たして、標準仕様になるのかどうか分からないからです。このようにCSS2が既にCSS2.1によって否定されているにもかかわらず、CSS2.1が宙ぶらりんになっている、というのは、かなりまずい状況といえるとでしょう。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック