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2006年06月10日
XSL-FOによるXMLのPDF化 (5) Office Open XML Format
ちょっと話が横道にそれてしまうかも知れませんが、ここで、Open XML Formatについて考えて見ます。
このブログでも何回か書きましたし、既にご承知の方も多いと思いますが、Microsoftは、次期Office 2007のファイル保存形式をデフォルトでXML形式にすることになっています。
例えば、Word2007の文書は、デフォルトでは、docxまたはdocmという拡張子が付きます。このファイルは内容はXML形式で、昨日説明しましたWordprocessingML(WordML)と同じようなものになります。
そうして、Microsoftは、Office 2007の文書形式をOpen XML Formatという名称をつけて、世界標準仕様にすることをもくろんでいます。
現在、EcmaでOpen XML Formatの標準化作業を進めており、中間段階の仕様書がここに公開されています。
Microsoft Officeの文書形式がこういう形で公開されること自体は大変歓迎すべきことです。これによって、文書データの交換が非常にスムーズに進むようになるでしょうし、いままでよりも格段にユーザにとって便利になると思います。
では、このOpen XML Formatは世界標準になりえるものなのでしょうか?
私は、「Open XML Formatは世界標準の資格がないのではないだろうか」と考えます。
その理由は、このファイル形式は特定のアプリケーションを前提とするものだからです。つまり、Microsoft Officeがないと、Open XML Formatで記述された文書を正しく解釈して、正しくページを表示することができないのです。
もう少し詳しく言いますと、Open XML Formatは、Microsoft Officeというアプリケーション・ソフトウェアが存在して初めて意味があります。Open XML Formatを表示するソフトを開発しようとすると、Microsoft Officeの動き方を詳細に観察して、Microsoft Officeと同じように動くアプリケーション・ソフトウェアを開発しなければなりません。つまり、Open XML Formatで書かれた文書をPDFにするソフトを開発して欲しいという仕事を依頼されたとして、Open XML Formatを読むだけではその業務を行うことはできないだろうと思います。文字だけ取り出してPDFにして欲しいという程度ならできるかもしれませんが。
SVGやMathML (2006年06月08日 XSL-FOによるXMLのPDF化 (3) 描画情報を規定するXMLタグを参照)では、その仕様書を読むだけで、SVGやMathMLを表示するアプリケーションを作ることができます。
このように、このふたつの種類のXMLフォーマットには、根本的な違いがあるように思います。