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2006年05月04日
PDFとフォント(23) CID-Keyedフォント (PostScript)
CID-Keyed フォントは、PostScript Type1形式の複合フォントとしてOCFの後継として規定されました。
CJK /CID-keyed fonts CID フォントに関する一連の仕様
CIDフォントの構成要素は、次のものです。
・CID文字集合
・CMapファイル
・CIDフォントファイル
(1) CID文字集合
日本語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語についてグリフを集めてCID番号をつけたものです。これについては、既に2006年01月15日 PDFと文字 (23) – Adobe-Japan1、2006年01月16日 PDFと文字 (24) – Adobe-GB1, Adobe-CNS1, Adobe-Korea1で簡単に紹介しました。
(2) CMap
さまざまな符号化文字集合の文字コード番号から、CIDへの対応表です。アドビが用意した標準のCMapは無償配布されています。フォントベンダなどが独自に定義することもできます。
これについても、既に、
2006年01月17日 PDFと文字 (25) – CMapで文字コードからCIDへ変換で説明しました。
(3) CID フォントファイル
これは、フォントのグリフを記述するプログラム(データ)を収録したファイルです。フォントベンダが開発するものです。Type1のグリフアウトライン形式と互換の形式になっていて、Adobe Type ManagerやPostScriptインタープリタで解釈してラスタライズすることができます。
CID-Keyedフォントを表示・印刷する仕組みの一部は2006年01月17日に示しましたが、CMapを使って、文字コードからCIDに変換し、CIDをキーにして、文字のグリフを取り出し、そのグリフをラスタライズするものです。
CID-Keyed Font Technology Overview Technical Note #5092にはCIDフォントの特長として次のようなことを挙げています。
・CMapファイルを使って、複数のCID-Keyedフォント、OCFフォント、Type1、Type3フォントを参照して使える。
・文字を追加して、拡張していくのが簡単。
・Type1よりフォントを取り出してラスタライズするのが速い。
・広範な機器に使える。
・OCFと比べてフォントのファイル数が少なくて済む。コンパクトになる。
など。
基本的にCJK用なので日本のフォントベンダもCIDフォントを多数出しています。
CIDフォントにモリサワの報告があります。OCFからCIDへの移行で細かいことでかなりいろいろな問題を経験しているとのこと。