« 2006年04月01日 | メイン | 2006年04月03日 »
2006年04月02日
オープンソースのビジネスモデル (6)
昨日、オープンソースのライセンスについて代表的なものをあげました。それを読んで考えているうちに、特に複製権(第二十一条)と利用許諾権(第六十三条)の違いに考えて、もう少し、見ないといけないということに気が付きました。
3.複製権と利用許諾権
3.1 複製権と利用許諾権を同一の主体が行使
プログラム利用の一番典型的な例は、エンドユーザ(企業・個人)が、ソフトウェアの著作権者から複製物を入手して、自己のコンピュータの上でそのプログラムを動作して利用するものです(図1)。
この場合、プログラムの複製権・使用許諾権を行使しているのは著作権者(またはその許可を得た者)のみとなります。
図1 自己のコンピュータでプログラムを動かして利用
3.2 複製権と利用許諾権を異なる主体が行使
ところが、次の図2のように、プログラムは公衆または公共のコンピュータ上で動作させ、エンドユーザはその機能のみを利用する場合があります。例えば、いわゆるASP(Application Service Provider)の利用形態がこれに該当します。この場合、複製する行為と、利用許諾する行為の主体が別になっています。
図2 公衆用コンピュータでプログラムを動かして利用
すなわち、ASP形態の場合は、エンドユーザとプログラムの使用契約を交わすのは、ASP(事業者)となります。しかし、ASP事業者は(著作権者でない限り)、使用許諾を交わす権利はもっていません。いま、こうして改めて見ますと、ASP事業者は、著作権者と契約を交わして、第三者に使用を許諾することができる権利を得る必要があるように思います。
4.商用ライセンスと占有ライセンス
4.1 商用ライセンス
次に商用ライセンスという言葉を少し考えて見ます。このブログで商用ライセンスという言葉を既に何回か使いましたが、これは英語のWebサイトに頻繁に出てくるCommercial Licenseの訳として使いました。
商用ライセンスは、プログラム著作者のもつ権利を使って何らかのビジネス行為を行うことを意味していると思います。しかし、商用ライセンスはオープンソースと対比するべき言葉ではありません。
4.2 占有ライセンス
オープンソースライセンスをざっくり言いますと、ソースプログラムを公開し、かつ、そのソースプログラムを入手した人に、著作権者と同等の権利を、一定の条件付きで、権利使用料を取らずに許諾するというものです。
そうしますとオープンソースでないライセンスとは、次のようになると思います。
ソースプログラムを公開しないか、あるいは、著作権者のもつ権利の一部を権利使用料をとって許諾する。
以下、このブログでは、後者を占有(Proprietary)ライセンスと言いうことにします。
投票をお願いいたします