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2006年03月31日

オープンソースのビジネスモデル (4)

先に進む前に、ここでオープンソースという言葉とライセンスについて簡単に検討してみます。

まず、オープンソースという言葉ですが、プログラムのソースコードを公開、共有利用するというのは30年以上前からありました。

私がコンピュータをはじめて使いましたのは1973年ですが、当時、Fortranという言語で多変量解析などのプログラムを書いて、大型コンピュータ(メモリは128KB位から256KB位だったと記憶していますが)で計算しました。

そのプログラムは数式を元にゼロからプログラムを書いたわけではなく、専門書に掲載されていたプログラムや専門の研究所から入手したプログラムリスト(プログラムのプリントアウト)で、他の人の書いたプログラムを読んで、それを元に自分なりに多少修正してプログラムを作ったことの方が多かったと記憶しています。

実際、大きなプログラムをゼロから書くことはあまりなく、90%位は既存のものを使い、仕事に合わせて10%位書き直してということをやっていたと思います。ですからプログラムは(社外だけでなく社外とも)共有するものなんだな、とずっと思っていた位です。

そもそも自分の開発したプログラムのソースコードを占有し、使いたい人に使用権をライセンスするというビジネスの方が比較的新しいビジネスモデルである、といえるかもしれません。

さて、以上の話は個人的な余談として、本題に入ります。

1.オープンソースとは
現在、オープンソースの話についてはいろいろな人が語っていますので、ここではもう語るのはやめて、オープンソース・イニシアティブの言葉の定義を示しておきます。

1.1 原文(英語)
Open Source Initiative (OSI)

The Open Source Definition

1.2 日本語訳
オープンソースの定義(The Open Source Definitionの翻訳)
オープンソースグループ・ジャパン(日本独自の団体)

2.ライセンスとは
ソフトウエア(特に新しいソフトウェアを開発する)プロジェクトという点から考えますと、オープンソースという言葉の検討より、どのようなライセンスを選択するかという検討が重要です。ライセンスは著作権者とそれを利用する者の間の私的契約事項です。そこで順序として、最初に著作権者と利用者の基本的権利を確認しておきます。

2.1 法律上の根拠
ライセンスの基本になるのは国家の法律です。
ソフトウエアを保護することができる法律は、主に次のふたつだろうと思います。
(1) 著作権法
(2) 特許権

著作権法については、日本国内では日本の著作権法が適用されます。
海外では、当該の国の著作権法で保護されることになると思います。

国際的には、万国著作権条約加盟国では、各国内の著作権法を万国著作権条約の規定に合わせて変更しています。
日本の場合:万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律

プログラムは著作権法の対象になると具体的に例示されています。
・第十条 (著作物の例示) 九項 プログラムの著作物

職務著作物としてのプログラムの著作者は、原則としてその人が属する法人になります。
・第十五条の2 職務上作成する著作物の著作者

著作者は幾つかの権利を持ちます。プログラムに関してその主なものは、
・第十八条 公表権
・第十九条 氏名表示権
・第二十条 同一性保持権  但し、動作しないプログラムを動作するように改変することは、同一性保持権の適用対象外
・第二十一条 複製権 これは著作者の専有です。
・第二十六条の二 譲渡権 著作者は複製による譲渡権を専有します。
・第二十八条 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 原著作者は二次的著作物にも権利を持ちます。

一方、著作権には制限があります。
・第四十七条の二 プログラムの著作物の複製物の所有者は、利用する必要と認められる限度で複製・翻案を行うことができます。

著作者の権利の行使
・第六十三条 著作権者は著作物の利用を許諾できます。

権利侵害
・第百十二条 著作者は差止請求権をもつ
・第百十四条 損害の額の推定

罰則
・著作権違反については、段階に応じて、罰則(懲役または罰金)規定があります。

このように、国家の法律では著作権者の権利を一部の制限を除いて守っていることをまず理解しなければなりません。これは著作権者の権利を守ることで、創作活動が活発になり、文化の発展につながるということが大義名分です。

特許権についても、著作権と同じように特許権者の占有権を保護しています。ここでは、省略しますが、ビジネスを行ううえでは、これらの法律の大筋を理解しておく必要があります。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック