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2006年02月04日

自動組版によるPDF生成で六法全書を出版

今日は、2月1日から3日に東京・池袋で開催されたPage2006で、(株)エクスイズムの徳江社長がプレゼンテーション発表した自動組版とPDF利用事例を紹介してみたいと思います。

エクスイズムは、2003年3月にアンテナハウス、株式会社ニシカワセザックス株式会社の合弁でドキュメントXML化、XMLWebアプリ開発、自動組版、印刷媒体制作の連携を実現する会社として設立した会社です。設立後3期になって、XML関連で優れた実績をあげることができるようになってきました。

特に、アンテナハウスにとっては、XSL Formatterの市場を広げていくために貴重な存在となっています。

エクスイズムの事例の中で、なんと言っても一番に紹介したいのは、東京法経学院出版向けに開発した「六法編集システム」です。東京法経学院出版は、有力資格試験取得のための受験指導などを中心とする学校ですが、同時に「登記六法」、「不動産六法」などの六法全書を編集・出版しています。

200602031432.jpg

これらの六法全書は、また、電脳六法としてWebでも提供されています。

法律については、私はあまり詳しくなくて、天下の秀才の人たちが、次々に新しい法律を作り出している位の知識しかありません。しかし、これが結構身近なところにも影響があり、常識と思っていたことが、いつの間にか変更になって困ったこともあります。

そういう時に頼りになるのが、もろもろの法律を集めた六法全書というわけです。六法全書は、それだけに小さな文字でページ数が多く膨大な情報量になります。また、法律の改正情報を迅速に集めて書籍にしなければなりません。そのような理由で、XMLデータベースと自動組版という技術に最も向いた分野と思います。

エクスイズムが、今回開発した六法編集システムは、データの蓄積にXMLデータベースNeoCoreを使います。データの入力にはWebブラウザを使い、Webブラウザから法律の改訂情報を入力して、データベースに蓄積します。

こうした情報の入力は随時行っていき、出版の時期になりましたらデータベースから取り出して自動組版してPDFにします。この自動組版の部分を担当するのが、当社のXSL Formatterです。XMLで作成しデータベースに蓄積されている原稿を、データベースから取り出す際にスタイルシートでXSL-FOに変換し、XSLFormatter瞬時にPDFを生成することができます。

この六法全書の特徴はページの本文のレイアウトが縦書でしかも多段組になっていることにあります。

Roppou3.PNG

特にややこしいのが、膨大な量の索引も自動的に作り出すわけですが、索引にはページ番号だけではなく、「上・中・下」という段の位置まで指定できなければなりません。これも実現したのがひとつの技といったところです。

アンテナハウスでは、今回、これを実現するためXSL-FOの仕様を独自拡張しました。(現時点で、Webでは公開されていませんが、オンライン・ヘルプには載っています。)索引を作るには、通常は、索引語の後ろに、fo:page-number-citationを指定します。組版を完了すると、これは、ページ番号に置き換わります。今回の拡張で、fo:page-number-citationが置き換わるページ番号に段まで指定できるようにしました。具体的には、axf:number-type=”page-and-column”とするとfo:page-number-citationがページ番号と段に置き換わります。さらに、数字の形式を拡張して、この段の数字として「上、中、下」という形式を指定できます。そうすることで、

XXX --- 398上

というような索引まで作成できます。

XSL-FOを使う自動組版は、こういう六法全書のようなものを作るのには最適ではないかと思います。ぜひ、このようなシステムを多くの出版社で採用していただきたいものです。

Pageの会場でプレゼンテーションをご覧になった方もいらっしゃると思いますが、XMLの自動組版でこんなことができるのか!という点で参考にしていただきたいと思います。

詳しいお問い合わせは、エクスイズム(電話番号:0422-40-2571)までどうぞ。

投稿者 koba : 2006年02月04日 08:00

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コメント

ご紹介ありがとうございます、
東京法経学院出版様では、現在「詳細調査士六法」「詳細不動産六法」を書店向けに発送開始するところです。
さて、XSLFO自動組版システムの開発を手がけた側としての感想。
XML形式のテキスト生成→XSL Formatterを用いて自動組版→PDF生成→即座に校正用紙として使う→校了で版下利用
と言った流れになりますが、この仕組みは言うほど単純でありません。
やっと運用体制が一巡した段階ですので、システムのメリットを生むのはむしろ2年目となる今年からではないでしょうか。
出版社編集室スタッフの仕事する姿勢、自社で完結させる心構えがあってこその成功事例だと思います。

投稿者 Kazu : 2006年02月07日 12:59

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