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2006年02月27日

プリフライト・チェッカとRIPシミュレータ

PDFを印刷工程にまわす前にチェックすることを、PDFプリフライト・チェックと言います。Acrobatにはプリフライト・チェックの機能はありますし、有名なプリフライト・チェック・ツールには、enFocus(ベルギー)社のPitStopというソフトもあります。

しかし、AcrobatやPitStopはあくまでPDFとしての内容チェックとなります。AcrobatやPitStopでチェックしてOKだから、実際の印刷工程で問題が出ないかというとそうでもないようです。

例えば、PitStopは、PDFの修正をすることもできますが、PitStopでPDFを修正すると、ファイルを壊してしまうことがあるという話も聞きます。

実際に、XSL Formtterのお客様から、Formatterで作成したPDFをPitStopでPDF/X-1a用に修正したところ、ファイルが壊れてしまう、ということで、FormatterのユーザサポートにPDFファイルが送られてきたこともあります。壊れたPDFファイルの内容を調査しましたところ、PitStopで書き直した箇所のPDF命令が不正になっている、という現象が見つかっています。この理由は、PitStopのPDF描画命令の出し方が良くないために不正なPDFになってしまうのですが、プリフライト・チェックを行うソフト自体がPDFを壊すような出力をするのは笑えません。PitStopでプリフライトがOKであっても実際にRIPで処理しようとするとエラーになってしまう可能性は十分考えられます。

そうしますと結局のところ、印刷会社でPDFを処理するRIPと同じRIPを使ってチェックをしたら万全になるのではないかということになります。RIPシミュレータの意味はそんなところにあるように思います。

さて、前置きが長くなりましたが、Facilisというのは、三菱製紙が販売している自動面付けソフトのブランド名です。

Facilis Guardianは、Facilisという名前を冠している通り、Facilis RIP Ver.2.0の300dpi制限版を内蔵し、PDFをRIPを使ってチェックするRIPシミュレータです。

Facilis RIP はHarlequin RIP Genesis 版のOEMですので、実体はHarlequin RIPということになります。Facilis Guardianを開発した朝日システム開発の梶間社長に伺ったところでは、Harlequin のRIPは、高速で、しかも出力結果のログで様々な情報を得ることができ、他のアプリケーションに組み込みしやすい、などのAdobeの純正RIPにない様々な特徴があるそうです。

ところで、話を伺っていて、このHarlequin RIPを開発した人の方に関心をもってしまいました。なにしろ、PostScriptを処理するプログラムを作るのは、恐ろしく大変、と以前からいろんな開発者に聞いています。私の知っている限りでは、PostScriptインタープリタの開発はソフトウェア開発者が誰もやりたがらない仕事の一つです。Harlequin RIPというのは、PostScriptを読み込むこともできますし、PDFを読み込んで処理することもできます。で、PostScriptインタープリタのコア部分の開発は大勢でやるものではなく、やはり天才が一人で作るものなんだそうです。Harlequin RIPのコアを作った人は、英国のケンブリッジで、一人で部屋にこもって作ったのだそうです。こんなすごいものを一人で作るとは、一体、どんな天才なんでしょうか。

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投稿者 koba : 08:00 | コメント (0) | トラックバック