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2006年02月26日
PDFと印刷
アンテナハウスの設立は1984年ですが、その頃は、ちょうど、ワープロ専用機が世の中に普及し始めた時代でした。そうして、ちょうどその頃に普及していたのが電算写植機です。同時に、パーソナルコンピュータが普及を始めた頃です。
この3点セットが普及をする前は、印刷用の版下を作成する作業は、(1)手書きの原稿をお客さんから受け取って、(2)オペレータが写植機にデータを入力して組版して、(3)版下を切り張りで作成する、という流れで行われていました。
電算写植機の登場により、版下切り張りの必要がなくなりましたが、相変わらずデータの方は手入力だったわけです。
一方で、印刷の発注先であるユーザ企業の間にワープロ専用機が普及したことから、ワープロで入力したデータをなんとかして電算写植機にそのまま入力できないかというニーズが生まれました。
これを可能にしたのが、1980年代後半、当社が商品化したMS-DOSテキストファイル・コンバータです。このMS-DOSテキストファイル・コンバータは、主に富士通のOASYS、シャープの書院、NECの文豪、東芝のToswordやRUPOなどのワープロ専用機で作成した原稿を、印刷会社が電算写植機に入力するためのデータとするための用途に使われたのですが、1980年代後半には、それこそ飛ぶように売れたものです。
いまは、登場する役者が全部変わってしまいましたが、電算写植機をRIP(Raster Image Processor)にワープロ専用機のデータをPDFに置き換えて見ますと、同じような状況が起きているのかも知れません。
吉田印刷のDTPサポートブログには、PDFを印刷入稿に使う7つのメリットという記事があります。
[1062][PDF]PDF形式の7つのメリット~なぜPDFなのでしょうか?
ユーザ企業にはPDFがどんどん普及しています。ユーザがPDFにしたデータをそのまま印刷用の完全データとして使って、印刷機にセットし、印刷ができるのならば、こんな便利なことはありません。
しかし、話に聞きますと、印刷会社ではPDF入稿をあまり歓迎しない向きもあるとか。
どうしてこんなことになってしまうかと言いますと、PDFがあまりにもなんでも取り込みすぎたからでしょう。
極端な例が、低価格のスキャナで紙をスキャンしてPDFを作るケースもかなり多く、多分、スキャナで作ったPDFはPDF全体の10%~20%は占めているのではないかと思います。スキャナ派はAdobe Readerで表示できるものがPDFであると考えているのではないかとも思います。
そこまで行かなくても、印刷の原稿としてのPDFにはいろいろ問題があるようです。
Page2006などの展示会で印刷機材のメーカのカタログを見ますと、Acrobatで作成したPDFしか保証しない、ということをうたっているケースもしばしば見かけます。というよりもAdobe以外のサードパーティのPDF作成ソフトで作ったPDFを保証している印刷機材は殆どないのが現状のように思います。
しかし、これはやはり困ります。なんとかしなければなりません。
そんな問題意識があって、PDFを評価するソフトに関心がありましたが、たまたまFacilis GuardianというRIPシミュレータをお借りして試してみることができました。
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