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2006年02月23日
XSL-FO仕様が勧告仕様になりました
W3Cが、現在、仕様の改訂作業を行っているExtensible Stylesheet Language V1.1 が2月21日(日本時間)に勧告候補(CR)になりました。
CR仕様書は、下記に公開されています。
Extensible Stylesheet Language (XSL) Version 1.1
W3C Candidate Recommendation 20 February 2006
http://www.w3.org/TR/xsl11/
今回の改訂では、次のような項目が新しく仕様として盛り込まれました。
* Change marks
チェンジ・バーとも言います。改訂箇所を示すために使われるもので、アメリカの軍のドキュメントの規格がベースになっているようです。日本の法律文書などは、新旧対照表を作って管理するようですが、米国では新旧対照表を作るという習慣はないと聞いています。
* "Back of the book" index.
書籍等の巻末索引を作成するための仕様です。この巻末索引の仕様は非常に重要なもので、XSL-FO組版エンジンの主要ベンダは巻末索引を独自に拡張していましたが、V1.1で標準化されることになります。(但し、縦書の上、中、下段なんてのはないですね。これは提案しないといけないでしょう。)
* Bookmarks.
PDFのしおりを作成するための機能です。実際のところ、XSL-FO組版エンジンの出力は殆どPDFです。XSL-FO V1.0ではしおりを定義する機能がなかったため、PDFのしおり作成機能をXSL-FO組版主要エンジンが独自拡張していたのですが、V1.1で標準化されます。
* "Markers"
マーカー機能が拡張されます。
XSL-FOにはfo:marker/fo:retrieve-markerという機能があり、ページ単位でのランニング・ヘッダやランニング・フッタ作成、等のために使うことができました。表が次のページ/段に続く、前のページ/段から続くとか、あるいは、小計の表示をする機能などが欲しい、という要望が多く寄せられています。V1.1でマーカーの機能が強化されて、表の継続を示す用途などに使えるようになります。
* Multiple flows.
これまで、内容オブジェクトのフローは単一で、流し込む領域はfo:region-bodyという本文領域のみでした。V1.1から複数のフローを定義可能になりました。
図 マルチフローの例
上の図のように、用紙マスターに複数の領域を定義しておき、内容オブジェクトのフローを複数用意し、各々流し込みする領域を対応つけることができます。この機能は、FrameMakerから持ってきたものと思いますが、かなり複雑なレイアウトが可能になるでしょう。
この他、次のオブジェクトが追加になっています。
* fo:page-sequence-wrapper.
* fo:page-number-citation-last.
また、プロパティの拡張も幾つかあります。
* graphic の拡大縮小の条件付け.
* page-position の属性に新しく "only" という値を追加
* clear、floatの属性に "inside" と "outside" を追加
* ページ番号に、接頭辞、接尾辞を指定可能に
ページ番号は、folio-numberに変更になりました。
CRは仕様として安定した状態で、ベンダーに対して実装を呼びかけるステップです。
W3Cの仕様策定ステップ
CRの予定期間は5月31日までとなっています。W3Cは、この間に、ベンダーの実装レポートの提出を求めています。
現時点での予備的な実装レポート
追加された仕様の項目毎に最低2つのベンダが実装することが必要です。
アンテナハウスは世界で唯一、すでにXSL-FO V1.1 追加仕様の実装をすべて完了しています。
本日、XSL Formatter V4.0 Alpha2 版を公開しました。α版としていますのは、リリースまでにいろいろと改良予定があるためです。XSL-FOの実装については問題なく評価していただくことができますので、ぜひお試しになってみてください。
また、アンテナハウスでは、2月27日(月曜日)16:00より多言語組版研究会を開催します。ここで、XSL-FO V1.1 で追加された仕様についての勉強会を行なう予定です。まだ、席の余裕がありますので、ぜひご参加くださいますよう。
お申し込みはこちらからどうぞ。
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