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2005年12月04日
Microsoft XPSでPDFに対抗 (4) – XPS仕様(続き)
では、XML Paper Specification(XPS)とは、どのようなものでしょうか?
XPSの仕様書をざっと見てみましょう。まずXPSドキュメントの基本構成要素はFixedPage パーツです。FixedPageの概要は次のようなもので、要するにPDFまたは紙の1ページに相当します。
①FixedPageにはページ上に可視化するすべての視覚的要素、すなわちグラフィックスとテキストを含む。
②各ページは大きさと方向をもち、ページ上のレイアウトは決定済。
FixedPageをいくつかまとめるとFixedDocumentができます。このFixedDocumentに順序をつけて束ねたものがXPSのドキュメント本文パーツ(FixedDocumentSequence Part)となります。要するに紙を束ねた書類がドキュメントの本文パーツということです。
XSPドキュメントのパッケージには、本文パーツ以外に、①サムネイル・パーツ、②プリント・チケット・パーツ、③注釈パーツ、④フォント・パーツ、⑤イメージ・パーツがあります。
たとえば、本文パーツが使用しているフォントは、フォント・パーツにその実体をもちます。そしてXPSドキュメントの中にパッケージ化されます。これにより、XPSドキュメントを配布したとき、相手先のPCでは、生産者が指定したフォントがなくても、XPSドキュメントを指定どおりのフォントを使って印刷できることになります。
イメージを本文とは別のパーツにしているのは、本文で同じイメージを何回も使うとき、別のパーツとしてのイメージを参照することで、イメージの実体を一つだけもてば良いからです。
現在までに、Microsoftと協力してMetroの開発を行ってきた会社の殆どはプリンタ・メーカとプリンタ・メーカ向けにWindows用のプリンタ・ドライバの開発を行っているソフトウエア会社です。これは、Metroが従来のGDIベースの印刷サブシステムがもつ弱点を乗り越える新しい印刷パスとしての位置づけで開発されてきたといういきさつがあるからだろうと思います。
しかし、XPSの仕様書をみると、XPSは単なる印刷システム用のスプールファイル形式ではなく、紙に類似する用紙を定義し、その上にレイアウトされたドキュメントを配布するための機能を持っています。しかも、フォントの埋め込をすることもできますし、サムネイル、リンク、注釈などの機能ももち、限りなくPDFに近くなっています。
少なくとも、XPSはPDFに競合する使い方を意図して設計されているということはできるでしょう。
【参考資料】
XML Paper Specification
XPS と、Windows Vista でのカラー印刷の拡張機能