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2005年11月20日
PDFの作成方法(13) – PDFの対話的機能
さて、実際のプリンタには接続しない仮想的なプリンタ・ドライバでPDFファイルを作成する、という方式には、次のような制限ができます。
ワープロソフトなどのアプリケーションの印刷機能は、プリンタを使って紙に印刷することを想定しています。このため、印刷機能を経由するだけでは、紙にはないけれども、PDFには用意されているいくつかの便利な機能を設定できないのです。
では、PDFにあって紙にない便利な機能とはなんでしょうか?主なものを簡単に紹介しましょう。
まず、しおり(BookMark)があります。文書のアウトラインをPDFファイルに設定しておきますと、Adobe Readerは、アウトラインを次の図のようにウィンドウに表示します。アウトラインの項目をクリックすると、その項目に設定されたリンク先にジャンプします。
一般的には、文書の見出しを階層化してアウトラインを作ります。項目に設定するジャンプ先は、表示しているPDFファイル内でも外部でも構いません。書籍、操作説明書、仕様書などページ数の多いPDFファイルを作成する場合、しおりを設定することで、読み手が文書全体をナビゲーションし易くなります。
第二に、リンクがあります。PDFファイルの中にリンク先のアドレスを埋め込んでおき、ファイルをAdobe Readerなどで表示したとき、そのホットスポットをクリックすることで、埋め込まれたアドレスへジャンプするものです。使い方としては、目次から本文へのリンク、索引から本文へのリンク、本文内で別の箇所を参照、などが主なものです。PDFファイル内のみではなく、外部のPDFファイル(の特定の箇所)や外部のWebページへのリンクも設定できます。ユーザがホットスポットをクリックしたとき、その動作をするのはもちろんPDFビューアの役割です。
第三は、コメントです。PDFでは沢山の種類のコメント機能が使えます。PDF Referenceでは8.4 Annotationという項に定義されています。テキストで注釈を書く以外に、線、矩形、円、多角形、折れ線、ハイライト、アンダーライン、取り消し線、スタンプなどを使うことができます。本文とは別になっていて、既存のPDFファイルにコメントを追加したり、削除したりといった編集ができるように配慮されている訳です。Microsoft WordやExcelなどのOffice文書でも、本文と別にコメントをつけることができます。このコメントをPDFファイルを作成するとき、PDF内のコメントにできると便利でしょう。
第四に、アクセシビリティ機能があります。これは、また、別途、お話しましょう。
PDFには、これ以外にも、紙にはない、いろいろな機能がありますが、Officeソフトで作成するPDFファイルを想定すると、このあたりが主なものです。
PDFプリンタ・ドライバは、アプリケーションが紙に印刷するつもりでプリンタ・ドライバに対して出力したデータを取り込んでPDFファイルを作ります。このとき、しおり、リンク、注釈などは、データとして出力されないわけですから、PDFファイルに設定できません。何らかの工夫が必要になります。
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