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2005年11月18日
PostScriptプリンタドライバとGDI型PDFプリンタドライバの相違
PDFを作成するプリンタ・ドライバには、PostScriptを経由する方式とGDIからPDFを作り出す方式があると言いました。
やや専門的になりますが、この2種類のプリンタ・ドライバには次のような違いがあります。
①GDI型のプリンタ・ドライバはWindowsのGDIの機能に依存しているので、WindowsGDIの機能的制約を受ける。
②PostScriptプリンタ・ドライバは、WindowsGDIの機能制限を受けない。
この大きな違いの理由は、PostScriptプリンタ・ドライバは、Windowsのシステムの中で別格扱いされているということです。そして、アプリケーションは、GDIを経由しないで、PostScriptプリンタ・ドライバに対してデータを送り出すこともできるということです。
両者の方式では、MicrosoftWordなどでビジネス文書を作成している間は、大きな違いはでません。しかし、例えば、商業印刷などでプロ向けのグラフィックス・ソフトを使う場合には大きな差が出てきます。
例えば、テレビなどでカラーを表示するときは、RGB(Red,Blue,Green3原色)で表現することは多くの人が知っていると思います。WindowsのGDIも、テレビと同じように、カラーを全てRBGとして表現しています。そして、GDIを経由するPDFプリンタ・ドライバを使って作成したPDFの中ではカラーはRBGで表現されます。
しかし、印刷でのカラー表現はCMYK方式を使います。印刷用のアプリケーション・ソフトではカラーをCMYK方式で指定できるものもありますが、CMYK方式で表現したカラーは、WindowsGDIでは表示できません。このため、GDI型のプリンタ・ドライバで作成したPDFの中では、CMYKカラーを使えません。
また、アプリケーションによっては、PostScriptプリンタ・ドライバに出力するときと、GDI型のプリンタ・ドライバに出力するときで、内容を変えてしまうものがあることも分かっています:
例えば、MicrosoftのVisioは、PostScriptプリンタ・ドライバに対しては、ベクトル・グラフィックス形式でデータを出し、GDI型のプリンタ・ドライバに対しては、ラスター・イメージ形式でデータを出すようです。
なお、今日述べたことは、PDFを作成するプリンタ・ドライバとしての差異であって、PDF作成方法一般に該当することではありません。例えば、アプリケーションから、直接PDF生成ライブラリーを使って(つまりプリンタ・ドライバを経由しない)PDFを作れば、RGB以外のカラー表現方式を使うことも可能です。
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