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2005年10月23日
PDFってどんなもの(3) – 仕様は公開
PDFの仕様で重要なことは、仕様書が文書として公開されているだけではなく、誰でも開発に使えるということです。
PDF Reference 第5版の最初の章には下記のように明記されています。
「この本はPDFのファイル形式についての説明を提供し、第一に、PDFファイルを直接生成するPDF Producerアプリケーションの開発者のためのものである。また、開発者が既存のPDFファイルを読んで、内容を解釈し、変更するPDF Consumerアプリケーションを記述するのに十分な情報を含んでいる。」
PDFを作ったり、PDFファイルを読んだりできるのは、アドビシステムズの製品のみではなく、サードパーティの開発者が自由にPDFを作ったり、読んだり、修正することができることが明瞭に意図されています。
この文章は、筆者が (10年ほど前だったと思いますが) PDF Referenceを初めて読んだときにもありましたので、ずっと一貫した姿勢と思います。
仕様書を公開したこと、そして、この文章があることにより、アドビシステムズ以外のソフトウエア会社がPDF関連製品を出すことが可能になりました。この結果、アドビシステムズ以外からも、非常に沢山のPDF関連製品が生まれました。
アドビシステムズという会社は、一番最初は、アップルコンピュータのMacintosh向けにページ・プリンタの技術を提供することから成功してきた会社で、印刷・DTPの世界の専門家向けの製品を得意としてきました。アドビシステムズによって、この20年間で出版や印刷業界の仕事のやり方ががらっと変わってしまった、といっても言い過ぎではないほどです。
しかし、一般のビジネス、教育あるいは消費者にとってアドビシステムズという会社はそれほど身近な存在ではなかったと言って良いと思います。ですので、おそらく、第三者のソフトウエア会社から多数のPDF関連製品が出なければ、印刷業界を超えて、広い分野における電子文書の標準形式として、PDFが飛躍的に普及するのにはもっと時間がかかっていると考えられます。
日本製PDF製品はまだまだ少ないですが、海外では、PDF関連製品はそれこそ星の数ほどあります。アドビシステムズを含め、すべてのソフトウェア製品の提供者にとって、PDF関連製品の分野は、競争が非常に厳しく大変なのですが、使用者・消費者にとっては、だんだん、良いものを安く手に入れることができるようになるでしょう。これも、PDFの仕様書が公開されているお陰です。
投稿者 koba : 2005年10月23日 00:00
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