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2005年10月30日
PDFってどんなもの(6) – Word文書はPortable?
10月25日のお話に、Kenさんから「ExcelとかWordを読取るフリーソフトとかもあるので実質Wordとpdfは等価じゃないかと思うのですがどうなんでしょう。」というコメントをいただきました。これは、とても良い質問だと思います。
結論から言いますと、Word文書とPDFでは、可搬性において大きな差があります。このことを少し詳しく説明してみます。
マイクロソフトはWord2003のViewerを無償で配布しています。これは、こちらからダウンロードできます:
Word Viewer2003
しかし、これだけでは、Word文書が可搬であるとは言えません。次のような問題があります。
(1)Word Viewer2003がサポートするオペレーティング システムはWindows 2000 Service Pack 4, Windows Server 2003, Windows XP。
従って、これ以外のWindowsを載せたPCでは使えません。また、PCには、アップルのMacintosh、Linuxなどで動くのもありますが、これらでWord文書を見たい人は見ることができません。
○PDFには、Windows版は無論のこと、Macintosh版、Linux版もあります。
(2)Word Viewer2003で表示できるOffice製品は、Microsoft Office Word 2003、Microsoft Word 2002、Microsoft Word 2000、Microsoft Word 98、Microsoft Word 97となっています。
Microsoft Wordには、他に日本で発売されたものだけでもMicrosoft Word Ver.5、同Ver.6、同Ver.7(95)があります。これらの約10年前に発売されたWordで作成した文書を表示することができません。
○PDFで日本語が使えるようになったのは1997年です。10年程前の文書をPDFにはできないことも多いでしょう。ですので、この点、50歩100歩と言えなくもありません。恐らく将来はかなり差が出るでしょう。
(3)Wordで文書を編集する際には文字毎にフォントを指定できます。では、作者が指定したフォントが、その文書を読みたいPCにインストールされていなかったら、どうなるでしょうか?次に、簡単な例を示します。
①まず、Wordで、文字に「HGP創英角ポップ体」を指定した文書を作ります。
②次に、そのWord文書を「HGP創英角ポップ体」がないWindows上のWordで表示しますと、次のようになります。
この場合、自動的に近いフォントに置き換えて表示していることがわかります。このように指定されたフォントがないとき、勝手に別のフォントで表示するというのは、便利そうですが、トラブルの元にもなります。可搬であるというためには、フォントがなくても元と同じように表示できる仕組みが必要でしょう。
○PDFには、この問題を解決する仕組みがあります。
さて、Word文書とPDFでは可搬性において差があることを幾つか説明しましたが、お分かりいただけたでしょうか?この他にも、Word文書には可搬性について、いろいろ問題があります。これについては、また後日お話しましょう。
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