日別アーカイブ: 2017年1月25日

第119回  「H28年緩和でタイムスタンプを37日間で付与すれば良いと勘違いされていませんか?」-3

作成者:アンテナハウス株式会社 益田康夫
資 格:上級 文書情報管理士、簿記3級、行政書士
本ブログの記載内容は、公開日時点での法令等に基づいています。
その後の法令改定により要件が変わる可能性がありますので、最新の法令などをご確認下さい。

 「H28年緩和でタイムスタンプを37日間で付与すれば良いと勘違いされていませんか?」-3

前々回と前回は、「タイムスタンプはスキャンした時に付与するのが法的要件です。」について施行規則と通達趣旨説明から考えてみました。今回は「特に速やか3日」を考えてみましょう!

 前々回に施行規則3条5項2号 当該国税関係書類をスキャナで読み取る際に(当該国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合にあっては、その作成又は受領後その者が署名した当該国税関係書類について特に速やかに)、一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプ(次に掲げる要件を満たすものに限る。第八条第一項第一号において「タイムスタンプ」という。)を付すこと。

を見ましたが、特に速やかの部分を抜き出してみましょう!

 「国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合にあっては、その作成又は受領後その者が署名した当該国税関係書類について特に速やかに」タイムスタンプを付与する必要があります。

そして https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/1607/02.htm#a-3

「特に速やかに行うことの意義」「4-23 規則第3条第5項第2号ロ括弧書に規定する「特に速やかに」の適用に当たり、受領後その者が署名した当該国税関係書類について受領後3日以内にタイムスタンプを付している場合には、特に速やかに付しているものとして取り扱う。」と記載されています。

そうです!ここでの規定は”受領後3日以内にスキャンしてタイムスタンプを付している場合に特に速やかに扱ってよく、その緩和要件を受けることが出来るのです。

この辺りを明確に説明することをしない講師が少なくないので皆さんは困っておられるか、これから困ることになる訳です。

さらに施行規則同 当該国税関係書類をスキャナで読み取った際の次に掲げる情報(当該国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合において、当該国税関係書類の大きさが日本工業規格A列四番以下であるときは、(1)に掲げる情報に限る。)を保存すること。

(1) 解像度及び階調に関する情報
(2) 当該国税関係書類の大きさに関する情報
を確認しましょう!

 

これが特に速やか時の緩和条件のポイントなのです。本来スキャンした際にタイムスタンプ付与が必要なところを翌日起算の3日まで(受領後)タイムスタンプの付与が許容されて、A4以下サイズの書類は大きさの情報が不要になるのです。なぜこのような要件があるのか!?皆さんご承知のようにスマホでもスキャナ保存できるようになったからです。そしてスマホは撮影する際の画像(JPEG)に撮影時の画角(縦横のピクセル数)の保持はあるが対象書類の大きさ情報が取れないからです。これらのスマホ等の問題点を把握して運用上の統制をしなければ保存義務違反に繋がりかねないリスクが存在しています。

H29年1月1日から本番に入られる企業の実例等を見ながら継続して情報を発進させて頂きます。ご期待下さい。

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「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則」 シリーズと、その電子書籍販売方法のご紹介

アンテナハウスのCAS電子出版では、2016年10月から「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則」 シリーズの制作に取り組んでいます。これは、ECマーケティング人財育成の石田麻琴社長のブログを紙と電子で本にする、というプロジェクトです。

現在、下記の5タイトルを発行済みです。

『Eコマース”売れる”チームづくりのポイント!~着実に成長するための考え方、取り組み方~』
「Eコマース「勝者の秘訣」はデータ活用にあり!~「データをとって、毎日カイゼン」を繰り返そう~」
「今日からできるEコマースの集客戦略!~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~」
「Eコマース成功のための土台づくり ~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~」
「おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記 ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~」

本シリーズはすべてCAS-UBで制作し、電子書籍とプリントオンデマンド(POD)による販売を行っています。PODの販売のことは昨日書きました。☞プリントオンデマンド関連の実践情報ご紹介

そこで、以下、電子書籍の販売で現在行っていることと、今後の計画をご説明します。

電子書籍販売は現時点ではKDP(Kindle Direct Publishing)を使用しています。Kindleセレクトに登録し、Kindle独占販売です。ご承知の方は多いと思いますが、Kindleセレクトでは売上の70%がKDP登録者へのロイヤリティとして払ってもらえます(ダウンロード料金が差し引かれますが、本シリーズの場合、テキストがほとんどで、ダウンロード料金の額は少ないです。)。さらにKindleセレクトに登録すると自動的にKindleアンリミテッド(KU)にも登録され、KUのユーザーには読み放題となります。

Kindleアンリミテッドでは、読まれたページ数がKENP(Kindle Edition Normalized Pages)としてカウントされ、KDP登録者に対して、現在は1KENPあたり50銭強の支払いがあります。なお、KENP相場はKU開始前(Kindleオーナーズライブラリー:KOの時代)が83銭でしたので、KUサービス開始後に4割ほど目減りしています。アマゾンの都合により、一方的にKENPあたりの支払いが減らされたということです。昨年のKUサービス開始時にKDP著者のブログでも話題になっていました。

こちらで試しましたところ、例えば、「おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記」の場合、全ページを読んだ段階で417KENPにカウントされました。つまり、1冊完全に読み切ったとき200円強の支払いになる、ということです。この数字をどう見るかは判断が分かれると思いますが、個人的にはこの種の本への支払いとしては安すぎるのではないかと考えます。

Kindleで独占販売する(セレクトを選択)ときの問題点は次の二つです。

(1) 販売価格の上限が1,250円(税込)です。このため紙の本との価格差が大きくなってしまいます。
(2) 3ヵ月単位の縛りがあります。つまり設定から3ヵ月間は他の書店で販売できない、ということになります。これは既定値が自動更新のため、注意しないと外せません。(なお、アマゾンはおおよそすべての場面において、自分の都合の良い方向に既定値を設定しています。これは利己主義ですね。)

そこで、CAS電子出版としては、電子書籍の販売は今後次のように考えています。

発売当初の3ヵ月はKindleセレクトに登録します。内容を試し読みしていただく意味合いも含めて、KUでお読みいただければと考えています。それぞれ、3ヵ月を経過した時点でKindleセレクトを外します。Kindleのロイヤリティは35%と半減してしまいますが。独占を外して他のストアでも販売できるようにします。

その代わり、次の施策を行います。

(1) 1,250円縛りがなくなりますので、価格を改訂します。
(2) 楽天Koboに登録し、Koboでも販売を開始します。他の本はKoboでも売れています。一方、アップルなどのストアもありますが、ほとんど売れません。
(3) PDFの試し読み版(全体の20%~30%位?)を作ります。PDFの試し読み版を無償配布します。KUを試し読みとして使えなくなりますし、その代替策としても。

なお、販売するストアは、今後も見直します。(今後の計画は、変更の可能性がありますので、ご注意ください)。

【参考】
KENPがどのような意味を持つか、KENP単価などについての検討は、下記のブログをご参照ください。
Kindle Unlimited問題とKENPの関係について(続き)
Amazonでは本のページの数え方が三つある。Kindle Unlimitedは第三のKENPで著者への支払いが行われ、KENP相場が基準になる。
ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて