日別アーカイブ: 2017年1月20日

DITA Festa 2016 Winter(その1):DITA導入の目的、導入前の不安、導入の効果が語られた

2016年12月7日~9日、3日間にわたり恒例の DITA Festa が開催されました。
初日に「DITA で何が変わったか ~ブラザーの DITA 導入経緯と効果実績~」と題しブラザー工業さんの基調講演が行われました。

ブラザー工業さんはプリンター ・ 複合機の取説を DITA 化されたのですが、特徴としては

  • モデル数が非常に多い
  • 機能が多い&複雑なことができる
  • 同じシリーズに 操作性の違うマシンが何種類もある
  • グローバルに対応している(30 言語以上)

というものがあり、DITA 導入前は

  • 機能も多くラインナップも豊富、多言語展開していて、操作性にまとまりがないために、取説制作コストがかかっていた
  • FrameMaker を使った分散執筆では、統一性のなさ、記載ミス、翻訳コスト高などでもう限界であった
  • ブック指向の書き方では、検索性が悪く、わかりにくかった。

という問題を抱えていたとのことです。
そこで DITA 導入の検討を開始したのですが、当初は

  • 複雑になりすぎて管理できなくなるかもしれない
  • 執筆しづらくて、みんなが使ってくれないかもしれない
  • そもそも、XML もよく分からないのに大丈夫?
  • どうやって皆と協調すればいいの?

といった不安があったようです。しかし DITA ベンダーや協力会社さんの助けを受けながら、なんとか導入に成功したという内容の講演でした。
結果として

  • 取説制作コストはトータルで 35% 減
  • 翻訳費は50% 減
  • DTP 費は0 円(完全自動組版)
  • リードタイム約 30% 削減

という成果を得られたとのことです。
こういった具体的な数字は表に出していただけないことが多いのですが、ここまできっぱりとおっしゃってくださって、うれしい限りです。

反省点もあります。

  • DITA はタスク指向である!ということで、タスクトピックを多くしすぎて、かえって読みづらくなってしまい、後で減らした
  • DITA 的に正しいタイトルをつけるのがなかなか難しい。気がつくと Book 指向になっていたりした
  • コンテンツがコンディションだらけになったことがあり後で直した

このあたりはの話は導入を検討されている方にとってとても参考になるのではないでしょうか。

アンテナハウスはブラザー工業さんの導入プロジェクトに参加させていただいたのですが、講演の中で「とてもいい仕事をしてくれた」とお褒めの言葉をいただきました。
本当に感謝感謝です。


AH Formatter によるウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG 2.0) PDF実装方法

AH Formatter は XSL1.1標準仕様の FOプロパティと AH Formatter 独自の拡張を実装しており、AH Formatter が出力する PDF のアクセシビリティ機能を利用することが可能です。

PDF Techniques for WCAG 2.0” は、W3C のワーキンググループの原稿であり “Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0” の達成基準を満たしたいと考えるウェブコンテンツ制作者に情報を提供する文書です。日本語訳もあります(”「WCAG 2.0 実装方法集」の「11. PDF(PDF)」“)。原稿のテキストは、”Techniques for WCAG 2.0” からの抜粋です。

“PDF Techniques for WCAG 2.0” は Microsoft Word や Adobe Acrobat のようなアプリケーションを使ってアクセシブルな PDF を生成する方法を示しています。アンテナハウスのこのチュートリアルは同じ見出しを用いて(同じ順序で)、AH Formatter を使って同じ効果を得る方法を示しています。それぞれの見出しと、その見出しの後に加えた引用文は、関連する “PDF Techniques for WCAG 2.0″(日本語訳)からの抜粋です。引用文はそれぞれの実装方法を解釈する手助けとなるだろうと付け加えました。

ここに示されている AH Formatter の実装方法はほとんどが PDF/UA、あるいはタグ付きPDFを「PDFオプション設定ファイルダイアログ」でチェックを入れて、または “-tpdf” をコマンドラインで指定して PDF/UA あるいはタグ付きPDF することが要件となっています。

詳細は「AH Formatter によるウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG 2.0) PDF実装方法」をご覧ください。