月別アーカイブ: 2008年10月

ソフト無償化で得をするのは?

以前に、「PDF千夜一夜」(2007年07月09日PDFビューアにタブ表示機能の時代が来るか?)で、PDF-XChange Viewer 1.xをご紹介しました。1年少々経過した今、PDF-XChange Viewer V2.0になっています。
ダウンロードして少し試してみました。ビューアなのに、注釈をつけたり、注釈機能で線や円を引くこともできます。
前回は、ちょっと試した範囲ではうまくできませんでした。しかし、今回は注釈機能も旨く使えます。不具合が改善された?
このソフトを使うとPDFの注釈やコメントなどの簡単な機能は無償で利用することができます。日本語もIMEをインラインで使えないということを除くと利用できますので、既に、PDFの注釈機能は無料の時代になったと言えるでしょう。
PDFの注釈を開発するのは比較的簡単と思います。ビューアを開発できる位の技術力があれば難しいものではないでしょう。ですので無償化されても不思議ではありません。
書けまっせ!!PDF」は、用紙への入力という点で独自の利便性を追求することで、差別化できていると思いますので当面は影響ないでしょう。商用ソフトを作る立場としては、いろいろな機能が無償化されることは、ある程度想定した上で、それでも勝てる製品のプランをたてておく必要があります。
それにしても、ソフトの無償配布を販売のための戦術として採用する人達は、ソフトウエアの試用版無償配布を販売戦略として一番先に採用したと言われる「Netscape」が、どういう悲惨な末路になったかを、じっくり観察してみるべきだと思います。
9月末に翻訳が出た「プラネット・グーグル」(NHK出版)の中に、こんな一節がありました。
「ウエブブラウザを無償配布するのは簡単だったが、顧客から料金を徴収するのはとんでもなく難しかった。…」(pp.39 – 40)


DITAのDは、DarwinかDocumentか?

DITAとは、IBMが作成・提唱し、OASIS標準として認められたコンポーネント文書の記述言語です。
OASISでは、「Darwin Information Typing Architecture」となっています。
Darwin Information Typing Architecture TC
一方、最近の本家IBMのページには、「Document Information Typing Architecture」となっているものがあります。
DITA Open Toolkit による容易なコマンドライン処理
確かに、DarwinよりDocumentの方が意味が通じやすいと思います。でもDarwinの方が面白みがあると思います。
いづれにしても、統一しないといけないです。


自在眼11SDKをリリースしました

10月初旬より、自在眼11SDKをリリースしました。
詳しい情報はこちらです。
MultiViewer SDK for 自在眼11
表示できるファイル形式に、Microsoft Office 2007のOffice Open XML形式が新しく加わりました。
また、PDFのビューアが新しくなっています。
PDF Viewer は、別途、PDF Viewer SDK V2.0として販売しています。
Antenna House PDF Viewer SDK
※上記は、いづれも、ソフトウエア製品などに組み込んで使用していただく用途で販売しているもので、エンド・ユーザ向けの製品ではありません。


狂気の沙汰?ソフトウエア無償配布

昨日(10月7日)、「クセロReader ZERO」の配布開始メールが届きました。
PDF Readerは、ブラウザと同じで無償の世界になっていますので、無償配布も世の中のためとは思いますが。しかし、ページ編集、しおり機能、アノテーション、タイムスタンプ、スキャン・イメージのPDF化などのいろんな機能をテンコ盛りにしています。
こういうものを配布してどうやって開発費を回収し、企業としての収支をあわせるつもりなのでしょうか?私には狂気の沙汰としか思えません。
たまたま、クセロの森社長とお会いする機会がありましたので聞いて見ました。「ソフトの無償化は時代の流れ」、「無償版は収益に繋がっている」、「アフィリエイトで今年XXXX万の売り上げ目標」、
なぞと無償論を譲りませんでした。反省のかけらも見られません。
中途半端なものをばら撒かれると、PDFのイメージも悪化してしまうし、PDFは使えないと思う人も増えて困るのです。そう申し上げました。
当社は、良いソフトを作り、使って喜んでいただける方に、お金を払ってお求めいただきたいと思います。
「売って喜び、買って喜ぶ。」
これがビジネスの基本と思っています。


SMIL 3.0 Proposed Recommendationに

W3Cから、SMIL 3.0 がProposed Recommendationになったというニュースが届きました。
Synchronized Multimedia Integration Language (SMIL 3.0)
SMILってFlashなどと競合しているのでなかなかビジネス的に苦しいという話を聞いたことがあり、まだやっていたんだというのが正直な感想です。
W3Cで勧告になるには、少なくとも二つの実装が必要なはず。だれが実装しているのだろう?とチェックしてみました。
3つの実装がリストアップされています。
・CWI
・RealNetworks
・GriNS
SMIL 3.0 Interoperability Implementation Report
SMIL2.1では、
・ACCESS
・NOKIA
・CWI
・INRIA
の4つの実装が報告されています。
SMIL 2.1 Interoperability Implementation Report
メンバーが代わりましたね。ACCESSとかNOKIAはどうしたのだろう?


Acrobat 9 の高圧縮PDFの読み込み対応、完了しました

2008年07月11日
Acrobat 9で作成したPDFを処理する際の問題と対策
でご案内しました、Acrobat 9で作成した高圧縮PDFを読み込むことができない件について、全ての製品で対応版の作成が完了しました。
既存製品を既にお持ちの方は、各製品の改訂版ダウンロード・ページより改訂版をご入手いただきますよう、ご案内致します。


HTMLの二つの用途

昨日「Web上に散在する情報とそのナビゲーションを記述するためのHTMLと、文書形式を記述するHTMLが混在しているのが現在の実態です」と書きましたが、これを単純化した模式図で説明しますと次のようになると思います。
20081005.PNG
はやりの言葉で言いますと、Web2.0を実現するために使われるHTMLと文書を表現するために使われるHTMLがあるということです。
Web2.0を実現するHTMLでは、JavaScriptが多用されることになるでしょうし、集合値を蓄積・更新するWebDBが重要になります。
Antenna House Formatter V5は、Web2.0とは反対の方向、文書を表現するHTMLをページ媒体向けに出力するものであり、例えば、JavaScriptなどは、想定外です。


HTMLの本質はなにか?

HTMLは、HyperText Markup Languageという通り多数の分散環境に分散して存在する情報資源をURIとHTTPと組み合わせてナビゲートするための言語です。
そして、ブラウザは、ナビゲーションを行なうツールです。一見、これは、自明のことと思われます。
しかし。
HTMLをドキュメントの形式と見立てれば、文書をHTMLで記述することもできます。
文書は、長期に渡り紙というページ媒体に出力されてました。最近は、紙から発展した電子ページ媒体であるPDFに出力することが多くなっています。
しかし、HTMLをページ媒体に出力するのは、HTML本来の使い方と方向が少し違います。
Web上に散在する情報とそのナビゲーションを記述するためのHTMLと、文書形式を記述するHTMLが混在しているのが現在の実態ですが、この2種類を同等に扱うのは大きな問題があると思われます。


DITAかツールか?— ツールとデータの分離

昨日、あるところにDITAの説明に行きましたら、「DITAなんてどうでも良くて、要は自分達のやりたいことができるツールがあれば良い。」という話がありました。確かに、ユーザにとっては、DITAはどうでも良いのかも知れませんね、という話になったのですが。
一晩考えてみました。
既にレトロな昔、音楽は、レコード盤の上の溝の模様として配布され、それをレコード装置で再生していました。その後、CDやDVDに変わり、現在は、音楽は音楽データファイルとして配布されるようになっています。
つまり、音楽データがデジタル化してレコード装置というツールから独立化したことで、配布の方法や、再生の方法も多様化していることになります。
これをもって、ツールとデータを分離することで、新しい世界が開けたのだと、いうことができないでしょうか?
DITAを導入することで、ドキュメントとそれを制作するツールについても分離し、ドキュメントのデータをポータブルにする。例えば、保守マニュアルの必要部分だけをサービスマンの携帯端末で表示するなども簡単にできます。
繰り返しですが、ツールとデータを分離するのが、重要なポイントではないでしょうか?


工事進行基準による売上計上に関して(メモ)

最近、ソフトウエアの受託システム開発の売上を工事進行基準で計上するようになったと、雑誌などで頻繁に紹介されています。
アンテナハウスは、受託システム開発の割合は、10%弱であまり多くはないのですが、現在は、検収基準で売上を上げています。
でちょっと気になっていますが、工事進行基準で売上を上げるということは、経費も工事進行基準になることは明らか。
では、発注側が支払うべき経費も、工事進行基準になるのでしょうか?
つまり、通常の契約では、発注側は検収したときに初めて、完成を認めて支払うというような契約になっているものが多いのです。
そうなりますと、受注側が工事進行基準で売上を計上するならば、それに対応して発注側も工事進行基準で支出を計上していかないと、片手落ちになりそうです。
このあたりはどうなっているのでしょうね。


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