カテゴリー別アーカイブ: e-文書法

10月24日16時より電子取引データ保存についてのウェビナーを開催します。

電子取引データのデジタル保存完全義務化が数か月後に迫っています。皆様準備はお済でしょうか?
まだ、準備完了していない方は、お急ぎください。

その節は丁度良い機会ですので、次のウェビナーを視聴されてみてはいかがでしょうか。

来週、10月24日16時よりZoomウェビナー「電子取引データを効率的にデジタル保存」(視聴無償)を開催します。

本ウェビナーは、前半と後半に分かれています。

前半は電子取引データのデジタル保存についてです。

既に本ブログで何回も繰り返しているのでご承知のことでしょうが、2024年から電子取引データを必ずデジタル保存することが義務付けられます。この対策が中心となります。

<前半のアジェンダ>
1. 電子データの保存を行ううえでの課題と対処法
2. 「電子取引Save V2.0」の紹介
3. 製品デモンストレーション

後半では、デジタルインボイス交換システム(JP PINT)で交換した電子取引データ保存になります。JP PINTはまだまだ一般的ではありませんが、今後は普及する可能性が大きいと予想されます。

<後半のアジェンダ>
1. 「連携補完機能」とは
2. 日本のデジタルインボイスの標準仕様「JP PINT」
3. 製品デモンストレーション

ウェビナー録画をYouTubeで公開しました。次のリンクでご視聴ください。
電子取引データを効率的にデジタル保存


2024年1月から電子取引データのデジタル保存を始める場合の最適な対応方策は?

本ブログをいままでお読みいただいていた方には、既に耳にたこができると感じておられるかもしれませんが、次に2024年1月から新しく電子取引データのデジタル保存を始める場合の対処策について考えてみます。

前提条件

2021年3月に改定された電子帳簿保存法第7条(法律)により、国税関係の保存義務者が電子取引を行った場合、その取引データをデジタルで保存する義務が課せられています。2023年1月迄は書面に印刷して保存も認められていました(宥恕措置)が、2023年12月で宥恕措置は廃止となります。

保存の方法については財務省令(以下、施行規則)によります。当該施行規則は2023年3月31日に公布され、2024年1月1日より施行となります。その施行規則を前提として保存施策を検討します。

電子取引データ保存の方法については、施行規則4条の1項と3項に規定されています。1項は保存要件を満たした上で保存する方法です。3項は間に合わない場合、要件に関わらずに保存する方法です。なお、すでに保存要件を満たした保存を行っている場合、3項の適用は認められないようです。

現状と課題

これから電子取引データのデジタル保存を開始する保存義務者は、取引データ保存の現状は次のいずれかになっているはずです。

・電子取引データを印刷した書面を保存することで法的保存義務を満たしている(宥恕措置で2023年12月迄は問題ない)
・電子取引を行っておらず、書面による取引のみを行っている

こうした保存義務者は書面依存になっているといえます。

従来、書面依存の保存義務者が、2024年1月から書面を完全に廃止して、電子取引に切り替えることは困難でしょう。すると、2024年1月以降は電子取引に加えて、書面による取引書類も残ります。その書面も保存する必要があります。

解決方策

電子取引と書面取引が混在している場合、取引書類保存策は次の3つです。

(1) 2024年1月から書面による保存を一切廃止し、デジタルデータの保存に切り替える。

この場合、書面取引で交換した書面をスキャナーでデジタル化して保存する必要があります。このためには電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たしての保存が必要です。そうすると書面を廃棄できます。

さらに、電子取引データは、施行規則4条1項の要件を満たすデジタル保存を行います。

以上を実施すると、書面を保存する必要がなくなり、フルデジタルの保存となります。

(2) 書面の保存とデジタルの保存を並行して行う。

書面による取引は書面を保存する。電子取引は施行規則4条1項の要件を満たすデジタル保存を行う(電子取引データを印刷した書面の保存はしない)。

この場合、取引の記録はデジタルデータと書面のどちらかで保存することになります。ある取引記録を探すには、両方を探してみないと見つけることができません。

(3) すべてを書面として保存し、電子取引データはデジタル保存もする。

この場合、書面は次の2種類となります。
a. 書面による取引に用いた書類
b. 電子取引の取引データを印刷した書面(電子取引の取引データはデジタルでも保存されている)

すべての取引データは書面で保存されているので、取引の記録は書面の中から探すことができます。一方、デジタルデータは部分的な記録のみとなります。

具体例で考察

例えば、2024年に契約書を年間100件締結する見込みとします。その半分が契約書を書面で交換し、残りの半分が電子契約で契約書を交換する見込みだとします。

この契約書の法的保存方策は次の3通りのどれかです。

(1) 書面による契約書をスキャナで電子化し、スキャナ保存の要件を満たす保存を行う。また、電子契約による契約書は施行規則4条1項の要件を満たすデジタル保存を行う。

この方式では書面の契約書は廃棄し、すべての契約書をデジタルで保存することとなります。100件のデジタルデータを保存します。

(2) 書面による契約書は書面で保存する。また、電子契約による契約書は施行規則4条1項の要件を満たすデジタル保存を行う(電子契約書は書面で保存しない)。

この場合、書面の契約書と、デジタルの契約書がそれぞれ法的要件を満たすことになり、書面保存が50件、デジタル保存が50件です。

(3) 書面による契約書は書面で保存する。また、電子契約による契約書は書面に印刷して保存すると同時に、施行規則4条1項を気にしないで、4条3項によるデジタル保存を行う。

この場合、書面の契約書は100件、デジタルで保存した契約書が50件となります。2024年の契約書を全部調べるなら書面の契約書を調べる必要があります。

評価と選択

2024年1月からの電子取引データの保存方針を決めるには、この3種類の保存方策の優劣を評価した上で、方策を選択する必要があります。

どの方策を選択するかは各保存義務者がどのような取引を行っているか、それぞれの実態によって変わると思われます。

場合によっては、(1) 売上にかかる取引記録はすべてデジタル保存、(2) 仕入れや経費にかかる取引記録は書面とデジタルを並行し、(3)契約書は書面を主とする、というように、取引の区分ごとに(1)~(3)の保存方策を使い分けたいことがあるかもしれません。このような方策が許容されるかどうかは、施行規則4条を読んでも直ちに判断ができません。

前回:中堅・中小企業は2024年1月から施行される電子取引データ保存にどう対処するか
次回:EDI(電子データ交換)による電子インボイス交換と取引データのデジタル保存対応

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2024年1月から義務化される電子取引データのデジタル保存用に最適『電子取引Save V2.0』を9月リリース予定

本ブログでは、2024年1月から義務化される電子取引データのデジタル保存について、財務省令やそれに基づく国税庁の一問一答を紹介してきました。

ブログを読まれた方の中には、来年からどうしようかとお悩みの方も多いかと思われます。見積、請求、領収書を書面で交換していた時代と比較すると、デジタル化することで、却って保存が厄介になってしまうという印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。

その大きな原因は、財務省令(施行規則)によって、デジタル保存に複雑な要件を追加してきたためです。ところが、間に合わない向きが多いとみると、今度は要件はほぼそのままで、間に合わないなら要件を満たさなくても良いという猶予条件を追加したため、事態がさらに複雑になってしまいました。ということで、2024年からまだしばらくは混迷が続きそうです。

中堅・大企業であれば、システム投資によって、施行規則の要件を満たすデジタルワークフローを構築するなどで効率的な対応も可能です。しかし、中小企業では大きなシステム投資をしても、投資が大きいわりに効果が上がらないのでシステム化による解決が困難です。

こうした問題を解決するため、アンテナハウスでは「簡単導入」「自動入力」「ミニマムコスト」のコンセプトにより、『電子取引Save V2.0』を開発しています。

『電子取引Save』のWebページ

本製品は、電子取引データ保存に関係する社員が50人内外(10人から100人程度)のユーザーを想定して、できるだけ小さなコストで、電子取引データ保存を効率的に行えることを目標にしています。V2.0で追加した主な機能は次のページをご参照ください。

電子取引Save:V2.0 お知らせ

正式リリースは、2023年9月中を予定していますが、本日(2023年8月24日)より「ベータ版」の評価用ダウンロードを開始いたします。

なお、V2.0よりオプションとしてJP PINT用連携補完アプリも販売開始します。

JP PINT『連携補完機能』オプション

前回:2024年1月からの電子取引データ保存 結局、どうしたら良いのでしょうか?
次回:中堅・中小企業は2024年1月から施行される電子取引データ保存にどう対処するか

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財務省・国税庁の電子取引データ保存要件は石ころに金メッキして保存せよというようなものではないか?

さて、これまで何度も示した通り、2024年1月から電子取引を行った場合、その取引データを印刷して書面として保存するだけでは国税関係書類が適切に保存されているとは看做されなくなります。

こうして、来年1月から電子取引データは必ずデジタルで保存しなければならなくなります。その保存要件が2024年1月1日から施行される財務省令(施行規則)の第4条1項に示されています。

詳しくは、2024年1月からの電子取引データ保存方法がどうなるか? 財務省令(施行規則)を読んでみるをご覧いただきたいのですが、第4条に1項に掲げられている保存要件の多くは現実的とは思えない内容です。

保存義務者である企業の経営者の立場から見ると、決算に使った請求書・領収書などの書類は、決算が終わってしまえば、その役目を終えたものです。従来、取引関係書類を書面で交換していたり、あるいはPDFで受け取ってもそれを書面にプリントして保存できた時代であれば、決算処理が終了したあと、書類を整理して段ボールに収めた上で倉庫の片隅に10年ほど保存しておけばそれで済んだわけです。

それが取引データをデジタルで交換したとたんに、「タイムスタンプを打て」とはどういうことでしょうか。これはあたかも、上流から流れてきた河原の石ころに金メッキを施して保存せよ、というようなものでしょう。

他にもあります。「訂正削除できないか、訂正削除の事実・内容を確認できるシステムを使用して授受及び保存を行う」とは一体どういうシステムを使えというのでしょうか? 

このように施行規則第4条1項は、石ころほどの価値しかもたない・使い終わった書類を保存するために、不必要としか思えない保存要件を要求していると言えます。納税者側の立場からみると、施行規則を守って保存してもなんら新しい付加価値が生まれることはないのです。こういうおかしな規制が広く普及するはずはないのは子供でも分かることでしょう。

電子帳簿保存法が2021年に改定されてから2年間、あまりにも多数の国民からの疑問が相次いだためか、2024年1月の施行規則では第4条3項が整備されて、次の文が追加されました。

所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録及び当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしているときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。

これに関連する国税庁の一問一答は次のようになっています。

問61 電子取引について、税務署長が「要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由がある」と認める場合に、出力書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしているときは、保存時に満たすべき要件が不要となる旨の規定が設けられていますが、どのような場合がここでいう相当の理由があると認められることとなりますか。

【回答】
令和5年度の税制改正において創設された新たな猶予措置の「相当の理由」とは、例えば、その電磁的記録そのものの保存は可能であるものの、保存時に満たすべき要件に従って保存するためのシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等といった、自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含め、要件に従って電磁的記録の保存を行うための環境が整っていない事情がある場合については、この猶予措置における「相当の理由」があると認められ、保存時に満たすべき要件に従って保存できる環境が整うまでは、そうした保存時に満たすべき要件が不要となります。

ただし、システム等や社内のワークフローの整備が整っており、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存時に満たすべき要件に従って保存できるにもかかわらず、資金繰りや人手不足等の理由がなく、そうした要件に従って電磁的記録を保存していない場合には、この猶予措置の適用は受けられないことになります(取扱通達7-12)。
なお、この猶予措置の適用を受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。

一言でいうと、環境が整わなかったという理由さえあれば、第4条1項に示す要件が不要になるということです。

いままで迷走を続けてきた電子帳簿保存法第7条電子取引データの保存は、ますます、混迷の度合いを深めてしまった、という印象もあります。しかし、一方、納税者から謙虚にみると、ある意味常識的な方向に向かっているかもしれないとも言えるのかもしれません。

前回:2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(2)保存しなければならない書類は?

次回:2024年1月からの電子取引データ保存 結局、どうしたら良いのでしょうか?

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2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(2)保存しなければならない書類は?

2024年1月1日から法人税と所得税(源泉税を除く)に関連する取引をインターネットなどで行った場合、その取引データをデジタルで保存することが改めて義務化されます。

前回は、保存義務が課される主体者は誰か、について示しました。今回は、保存義務の対象となる取引データには、どのようなものがあるか、具体的に示されている情報をまとめます。

以下は、国税庁が公開している一問一答から、保存しなければならない書類として挙げられているものをピックアップした項目です。

・取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引(電子取引)を行った場合のその取引情報(問1)

・「取引情報」とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項(問2)

・電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メール本文、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイル(問3)

・取引情報(請求書や領収書等に通常記載される日付、取引先、金額等の情報)に係るデータを保存(問4)

・事業に関連するクレジットカードの利用明細データを受領した場合のように、個々の取引を集約した取引書類のデータを授受した場合には、クレジットカードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当することから、その電磁的記録の保存が必要です。また、その利用明細データに含まれている個々の取引についても、請求書・領収書等データ(取引情報)を電磁的に授受している場合には、クレジットカードの利用明細データ等とは別に、その保存が必要となります。(問4)

・クラウドサービスを利用して取引先から請求書等を受領した場合の、取引当事者双方で共有する請求書などのデータ(問6)

・スマホアプリを利用して決済した際に、アプリ提供事業者から受領する利用明細に係る内容(問6)

・インターネットバンキングを利用した振り込みの電磁的記録については、金融機関の窓口で振込等を行ったとした場合に受領する書面の記載事項(振込等を実施した取引年月日・金額・振込先名等)が記載されたデータ(電磁的記録)であり、そのデータ(又は画面)をダウンロードする又は印刷機能等によってPDFファイルを作成するなどの方法によって保存してください。(問9)

・従業員が会社の経費等を立て替えた場合において、その従業員が支払先から電子データで受領した領収書(問10)

・書面と電子データで取引情報を受領する場合、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、書面及び電子データの両方を保存する(問14)

・EDI取引で授受した電子取引の取引情報として保存すべきデータは、EDI取引で実際に授受したデータそのものに限定されておらず、当該EDI取引で授受したデータについて、その取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集されたデータにより保存することも可能(問36)

・一つの取引に関して、異なる取引条件等に応じた複数の見積金額が記録された見積書データを授受した場合、検索機能における記録項目である「取引金額」については、課税期間において自社で一貫して規則性を持っている限り、見積書データに記録されている見積金額のうちいずれの見積金額を用いても差し支えない(問50)

・所得税法上、一定の雑所得に係る請求書・領収書等(現金預金取引等関係書類)(問68)

国税庁の、電子取引データ保存に関する一問一答に登場する、デジタル保存を要する電子取引データは上のとおりです。実際のビジネスの現場では多種多様な書類がデジタル化されて取り交わされているので、どのようなものをデジタルで保存しておく必要があるかはその都度注意深く決めていく必要がありそうです。

ところで、先日、法人用スマホの機種変更を行いました。機種変更には月々の支払額(変更)や機種変更手数料が記載されているので、法人税法上は手続きした記録の保存が必要になるものと考えられます。で、お店の担当者から、このデータをデジタルでお渡ししましょうか? それとも印刷してお渡ししましょうか? と問われたので印刷したものをもらったのです。手続き自体はタブレット上でのチェックとサインで完了したので、この場合、2024年からは電子データで入手して保存しないと電子取引データ保存義務違反になるのでしょうかね? 

このように記載内容が同一の取引情報であっても、書面とデジタルを別物と考え、法的な取り扱いを別にする、というところが個人的に電子帳簿保存法が天下の愚法であると考える所以です。

前回:2024年1月からの電子取引データ保存をどのように進めたら良いかを考える(1)保存しなければならないのは誰?
次回:財務省・国税庁の電子取引データ保存要件は石ころに金メッキして保存せよというようなものではないか?

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中小企業も対象”新”「電子取引」要件確保が必須です! R4年1月から大丈夫でしょうか?

「電子取引」新7条について次の4つの視点で詳しく見ていきましょう!

  1. 電子取引の概要(令和3年12月までの現行法令)
  2. 電子取引制度の改正
  3. 電子取引時の保存義務違反のリスク
  4. よくあるご質問等

1)電子取引の概要(令和3年12月までの現行法令)

 保存義務者は、電子取引(注)を行った場合には、財務省令で定めるところにより、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています。 ただし、財務省令で定めるところにより、その電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りではないとされています。(電子帳簿保存法10)。

(注) 「電子取引」とは、取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。)の授受を電磁的方式により行う取引をいい(電子帳簿保存法2六)、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じて取引情報を授受する取引等が含まれます。

2)電子取引制度の改正

適正な保存を担保する措置として、次の見直しが行われました。(電子帳簿保存法新7条)

  1. ⑴ 申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されました。
  2. ⑵ 電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が 10 %加重される措置が整備されました。

3)電子取引時の保存義務違反のリスク

令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません。
したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。
なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断しています。
また、その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面等を保存している場合については、その電磁的記録や書面等は、国税関係書類以外の書類とみなされません。
ただし、その申告内容の適正性については、税務調査において、納税者からの追加的な説明や資料提出、取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。

4)よくあるご質問等

Q1 電子取引に当たる代表的なケースを教えてください

A1
以下の6つのケースを参考にしてください。

  1. ⑴ 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
  2. ⑵ インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用
  3. ⑶ 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
  4. ⑷ クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
  5. ⑸ 特定の取引に係るEDIシステムを利用
  6. ⑹ ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用

Q2 令和4年から違反となることを具体的に教えてください

A2
得意先からメール添付やダウンロードでPDFの証憑を入手したときは、紙に印刷しての保存は違反で、PDF証憑を電子取引の保存要件に従って、7年以上保存することが必要です

Q3 電子取引の「真実性の保存」で、自社でタイムスタンプを付与する場合等の要件とは

A3
速やかに又は業務サイクル後速やかにタイムスタンプを付与するか、訂正削除の防止等(訂正削除が出来ない文書管理システムへの保管等の措置)の要件確保が必要です。
詳しくは、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdfの「問-11」をご覧ください。

Q4 要件確保するにはどうすればよいのですか

A4
現在利用中のScanSave on ONeSaasへの保存などが必要です。なお、電子契約サービスや電子請求書等のサービスをご利用の場合は、個々のサービスが電子取引の保存要件を具体的にどのように確保しているのか調査をして、不備があれば、現在利用中のScanSave on ONeSaasへの保存などが必要です。

Q5 得意先から、“紙の請求書”も“PDF請求書”も受領することがある場合はどうなりますか

A5

下記の2つの情報から総合的にご判断ください。

  • 「電子取引」の「一問一答」の「問4」の回答「ホ」に、
    「取引慣行や社内ルール等により、データとは別に書面の請求書や領収書等を原本として受領している場合は、その原本(書面)を保存する必要があります。」と記載があります。
  • 更に、21年11月12日付で、追加で公開された「一問一答」に「【制度の概要等】関係(紙と電子データの重複)」があり、「電子データと書面の内容が同一であり、書面を正本として取り扱うことを自社内等で取り決めている場合には、当該書面の保存のみで足ります。
    ただし、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、いずれについても保存が必要になります。」と回答が掲載されました。
    詳しくは、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021010-200.pdfをご確認ください。

Q6 紙証憑を受領して、PDF化して、PDF保存していますが、大丈夫ですか?

A6
この時、受領した紙証憑が税法上の原本となります。PDFを税法上の原本にするためには「スキャナ保存」制度の要件確保※が必要です。
   ※国税関係書類に係る電磁的記録のスキャナ保存を行うに当たって、真実性を確保するための要件や可視性を確保するための要件が財務省令で定められています。

Q7 PDF証憑を受領して、担当者のパソコンに保存していますが、大丈夫ですか

A7
この場合、検索要件が確保できない恐れがあるので、現在利用中のScanSave
on ONeSaasへの保存などが必要です。

Q8 令和3年12月末までに入手したPDF証憑が各担当者のパソコンにあるのですが、そのままで良いですか

A8
そのままでは電子取引の義務違反になるので、現在利用中のScanSave on ONeSaasへの保存などするか、紙に印刷しての保存が必要です。

Q9 受領したPDF証憑と紙をスキャンしたPDFの違いがわかるのですか(バレますか)

A9
基本的にPDFを生成したデバイス情報や画像PDF化などPDFのプロパティ等を解析すれば、判断が付きます。

Q10 令和4年1月1日以降受領したPDFを担当者のパソコンへの保存や紙に印刷しての保存を続けた場合、どうなりますか

A10
PDFを担当者のパソコンへの保存することは検索要件が確保できない不備になります。更に令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません。したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。

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【2021年11月12日】A5について更新しました。


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2 改正電子帳簿保存法施行規則(「財務省令」)より各制度の要件を俯瞰する
→電帳法を制するには帳簿から!
3 要件の理解を深めるために、改正電子帳簿保存法取扱通達趣旨説明(「通達」)を読破する
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無料で1か月「電帳法」対応ソフトが利用できます

令和4年1月1日から改正電帳法の新要件で一部義務化されるものがあります。
それは、「電子取引」(電子的に取引情報を授受した際にデータ(PDF等)で保存するもの)が、従来認められていたPDF等から紙に印刷しての保存が税法上認められなくなるからです。

国税庁発表の引用:「申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されました。

さて、そこで皆様へ朗報です。

無料で1か月、電帳法対応の電子文書管理システムが利用できます。
その名は「e-Success」(イーサクセス)です。
「e-Success」は、国税庁が認めるJIIMA認証製品なので、安心してご利用頂けます。
「e-Success」は、PC版やサーバー版があり、これらは1か月無料でご利用が可能です。
もちろん、登録されたデータは、1か月超後、有料版に移行された際も継続利用可能です。
→ まずは、手軽なPC版「e-Success-Lite」をお試し利用されては如何でしょうか

【e-Successの参考資料や情報】

待ったなしR4年1月からの電子取引の要件確保の現実「解」

突然の国税庁の制度改正で、今まで認められていた「PDF等の電子請求書等」の「紙に出力しての保存」が令和4年1月1日から保存義務違反になります。
皆様は、ご存じですよね!
そして、対策は検討していますか?

<制度改正の裏付>

電子取引_一問一答_問42より

電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に出力して保存していますが、これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。また、その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか。

【回答】
令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできま せん。 したがって、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。 なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告 書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断しています。また、その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書 面等を保存している場合については、その電磁的記録や書面等は、国税関係書類以外の書類とみなされません。 ただし、その申告内容の適正性については、税務調査において、納税者からの追加的な説明や資料提出、取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。

<個人事業主・小規模中小企業が一番にやるべき対策>電子取引_一問一答_問12より

以下のような方法で保存すれば要件を満たしていることとなります。

1 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示する。 例) 2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書 ⇒「20221031_㈱国税商事_110,000」
2 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。
3 【問24】に記載の規程を作成し備え付ける。
※ 税務調査の際に、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には、上記のデータについて提出してください。
※ 判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が 1,000万円以下であり、上記のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、上記1の設定は 不要です。

【問24】に記載の規程とは:下記からダウンロードください。
参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁 (nta.go.jp)

不明点やアドバイスが欲しい方は、ご連絡ください。

【お薦め無料ウェビナーのご案内】

【先進事例セミナー】DXで加速する改正電帳法ソリューション!最新法令情報と複合機等を利用した先進事例紹介

日時:
2021年9月14日(火)13:30~14:40
概要:
  • 国税関係書類の電帳法「スキャナ保存」を導入する上で、キーソリューションとなるのが複合機や専用スキャナです。
  • 本ウェビナーでは、電帳法の最新情報と、証憑書類の仕分け作業や紙の原本廃棄の事例を、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社と共同で紹介します。
★内容紹介・お申込みページ:
https://www.kokuchpro.com/event/ah_210914/【終了しました】

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