NLM DTD, JATS, XSL-FO Stylesheetsについてのメモ

欧米における学術情報誌(ジャーナル:Journal)の分野では、NML DTDと呼ばれる文書形式の採用が広がっているようだ。
 
NLM DTDの歴史に関しては、2011年3月の東京 J-STAGE3 説明会におけるBruce D. Rosenblum 氏の講演要旨を読むとよく分かる。
http://info.jstage.jst.go.jp/society/meeting/110309/meeting_110309_6.pdf
 
NLM DTDの開発はずっと米国医学図書館(National Library of Medicine) で行なわれてきたが、近年、プロジェクトが米国情報標準化機構(NISO)に移ることになったようだ。
これに際して、NLMの最終版としてV3.0が2008年にリリースされた。当初はV3.0をNISOに移管する予定だったが多くのコメントが寄せられたので、整理してV3.1を開発したうえで、NISOに移すことになった。
 
NLM DTD V3.1は、JATS(Journal Article Tag Suite)という名前に変更して、2011年3月に「試行用ドラフト標準」としてリリースされた。
 
6ヶ月のレビュー期間後、寄せられたコメントに対処する。その後NISOで投票を行い、JATS1.0 となる予定とのことである。
http://jats.nlm.nih.gov/about.html
 
NML DTDで作成されたジャーナルをAntenna House Formatterを使って自動組版して印刷している団体はNLMのほかに米国の大学、出版社に沢山あるとのことだ。
 
このためのXSL-FOスタイルシートの初歩的なものが、NLMのWebページで公開されておりだれでも入手できる。
http://dtd.nlm.nih.gov/tools/tools.html
ftp://ftp.ncbi.nih.gov/pub/archive_dtd/tools/
 
FTPサイトにあるJournalPublishing-XSL-FO.zipがそれである。
このスタイルシートは、Antenna House のXSL Formatter V2.5.2003.613をベースとして開発されており、MathMLを組版する機能を使っている。MathML以外は、アンテナハウス拡張を使っていないので、他のXSL-FOプロセサでも使えるとある。
 
このスタイルシートをベースとしてNML DTDの様々な機能をもっと活用したスタイルシートを作ることができるし、これによってカスタマイズ市場も生まれるのだろう。
 
公開されているドキュメントは、2006年にFormatter V3.3で組版されている。
随分古い・・・ 2006年という日付に化石を感じてしまう。
アンテナハウスFormatter V6のリリースにより、組版機能は大幅に強化される。
ちょうど、NMLもJATSとして一新される。この機会に、AH Formatterの新しい組版機能を利用して、ジャーナル組版分野における市場開拓を進めたいところだ。